2021.7.25
ヤングケアラーって知ってる?
家族の手伝いは当たり前ではない?
こんにちは!「志木と朝霞のママさんを応援!」ステキライフ編集部です♪
埼玉県では、全国で初めて「埼玉県ケアラー支援条例」を令和2年に施行し、埼玉県ケアラー支援条例に学ぶ」という講座を開催しました。
ケアラーとは家族や近親者を無償で介護する人のことですが、まだあまり知られていません。
近年では、「ヤングケアラー」の問題がようやく取り上げられるようになってきました。
そこで今回は、ヤングケアラーについて実態や問題点、関わり方を解説します。
ヤングケアラーとは?
法律上の定義はありませんが、両親の離婚や死別、共働きで手が空かないなどの理由で、家族や近親者の介護や世話、家事、育児などの本来は大人がやるべきサポートを行っている18歳未満の子どものことを指します。
2021年4月に、厚生労働省・文部科学省が行ったヤングケアラーの実態調査の結果が発表されました。
この調査は、無作為に選ばれた全国の公立中学校の2年生と公立高校の2年生1割によって行われました。
回答の結果、家族の世話をしている子どもは10万人以上いたことが判明しています。
そのため、対象になっていない学年の子どもを含めると、これよりかなり多い数の子どもが家族の世話をしている、と考えられています。
家族のケアのなにが問題なの?
18歳以下の子どもが長期間にわたり家庭での介護やサポートを行うことには、次の問題があります。
学業に支障がでる
18歳以下の子どもは、本来勉強や部活、友だち関係の構築などで忙しい時期です。
その中で家族の介護や家事に追われてしまうと、必然的に勉強をする時間が減ります。
遅刻や欠席、宿題ができないなどが日常的になると、成績が低下し不登校の原因となることもあります。高校生では留年や退学の可能性も高くなります。
コミュニケーション能力が不足する
介護に追われて自分の時間がなくなると、勉強だけでなく友だちと遊ぶ時間も減ります。
また、友だちと話していてもみんながテレビやゲームの話や部活、趣味の話をしているのに自分だけ介護の悩みを話すことなどできず、コミュニケーションを取ることをあきらめてしまうこともあります。
その結果、コミュニケーション能力が低下し社会性が乏しくなってしまう危険性も問題視されています。
介護や兄弟の世話は子どもの心を育てるわけではない?
介護や兄弟の世話は、思いやりの心や奉仕の心を育てます。
ですが、それは年相応の範囲内で行われることが前提で、重すぎる負担は子どもの心や身体の健康を蝕んでしまいます。
子どもは小さい時から介護や世話をしているとそれが当たり前だと思ってしまい、中学や高校になってやっと周囲の友だちとの違いに気が付くケースも多く見られます。
「自分の環境はおかしい」とわかっても、誰に相談したらよいのかわからずにそのままの状態が続き、進学をあきらめたり、夢をあきらめたりせざるを得ない子どもも多くいます。
ヤングケアラーに対する専門的なアドバイスができる人の育成もまだ行き渡っておらず、早期の支援が求められています。
しかし『お手伝い』は問題ありません。子どもも家族の一員として役割があった方が良いという考えもあります。しかし、人命が関わるような介護や育児を常時担当することや、家族の食の全般を支えるような役割は適していないので考え直す必要がありそうです。
子育て、介護と子ども。どう付き合っていくといいのか
核家族化が進み、ヤングケアラーだけでなく、介護や子育てに悩む人は増えています。
小さな子どもを抱えて親の介護が必要になる「ダブルケア」の人も増えており、心や身体を壊してしまうことも多く見られます。
大切なのは1人で抱え込まないこと。1人ですべてを抱え込んでいると、心か身体のどちらか、あるいは両方が破綻してしまう危険性があります。
日頃から周囲の人とコミュニケーションを取り、いざという時には頼りにできる状態を作っておくことが大切です。
友だちや家族に相談できる人がいない場合は、行政の窓口を利用しましょう。
恥ずかしいから、言いにくいからと抱え込まずに自分の状態をオープンにしておきましょう。
いざという時にはここに頼ろう!という存在があるだけでも、心に余裕ができますよ。
ヤングケアラーやダブルケアには支援が必要
ヤングケアラーやダブルケアはまだまだ認知度が低く、存在を知らない人も多くいます。
とくにヤングケアラーは、近年になってやっと問題視され始めたばかりで、行政などの対応も不十分です。
ヤングケアラーは対象が子どもなので、自分から声を上げることが難しいため、発見が遅れがちです。
埼玉県は、全国に先駆けてこの問題に取り組んでいます。わたしたちも、まずはヤングケアラーの存在を知ることから始め、アンテナを立ててヤングケアラーを拾い上げ、支援を行っていく必要があります。